テレビや街中で、韓国人のファッションへの色使いの艶やかさに目を奪われたことがある方も少なくないはずです。
あの鮮やかで独特な色使いを紐解いていくと、韓国の伝統に触れる事が出来ました。
時代劇系の韓国ドラマを見たことがある方はピンとくるかと思いますが、宮殿にいる人や地位の高い人達が来ている服はとてもカラフルですよね。
宮殿自体の色使いもとても色彩豊かで美しいですが、あの色にはそれぞれ特別な意味があるのです。
黄:万物が生き返る源で裕福を表す光の色
青:悪いものを追い払い祝福を願う色
白:真実、純潔などを意味する色
赤:情熱、愛情、悪霊を退ける色
黒:知恵を司る色
衣食住それぞれに取り入れられているので、一つ一つ見ていきましょう。
昔、女性が普段着として来ていたチマチョゴリもこの色をたくさん使っています。
赤いチマチョゴリは子供や若い女性向け
青いチマチョゴリは既婚女性向け
というように年齢によって着る色が違います。
現代で普段からチマチョゴリを着る人はいないですが、結婚式やお正月など特別な時だけ着るという方も多いようです。
チマチョゴリを着て、頬に赤色の化粧をし、五方色に包まれて無敵状態でお嫁入りするのが伝統的なやり方です。
新婚夫婦の門出を祝い、いろいろな願掛けや願いを込めるのは世界共通の行いと言えるでしょう。
ドラマに出てくる王様やお妃さまが必要以上に派手な色の服を着ているのはこの五方色をふんだんに使い富や権力、地位を表現する為なのです。
どんな色の装飾品をつけているか、どんな色を使って化粧をしているか、どんな色の服を着ているかでその人の立場などが想像できます。
着る服や色によって同じ人でも見え方が違ったりもしますし、
自分を表すために色を使ってのトータルコーディネートをする事は昔も今も一緒ではないでしょうか。
現代でも頻繁に目にしますが、韓国のソウルフード”ビビンバ”にもこの五方色が取り入れられています。
ご飯の白色がベースにあり、その上にナムルやお肉、薬味などが色鮮やかに盛り付けされてます。
他にも、九節板(クジョルバン)という宮廷料理があります。
こちらは8つのマス一つ一つにそれぞれ季節のものや好みに合わせて彩りも考えながらおかずを盛る料理で、さまざまな五方色が均等に使われています。
見た目もきれいで、栄養バランスも考えられていて、目にも体にも美味しく作られています。
時代劇の舞台にもなっている宮廷にも、ふんだんに五方色が使われています。
カラフルな色使いをベースに、さまざまな模様や絵を描いて、鮮やかに美しく作り上げられています。
写真映え間違いなしな風景ですが、祭壇を飾るためにそのような色使いが始まったようです。
神秘感を与え邪気を追い出すため、そして、威厳と権威を表すため。
「衣」と同じく、上流階級の人達にとって、自身やその周りを色鮮やかにする事はとても大事な事だとわかります。
伝統的に使われている身の回りの物も、工芸品として売られている物の中にも五方色が使われているものがたくさんあります。
現代の韓国ファッションはきらびやかで鮮やかでとても可愛らしいですが、そのルーツをたどると、
一つ一つの色使いに意味があり、韓国は色を大切にしている事がわかりました。
無意識に生活の中にあるものこそ本当の伝統ということですね。